エアビーの許可・届出は必要?民泊を始める3制度と手順を解説
日本でAirbnb(エアビー)などを通じて宿泊料を受け取り、人を宿泊させる場合、物件を掲載するだけでは営業を始められません。


日本でAirbnb(エアビー)などを通じて宿泊料を受け取り、人を宿泊させる場合、物件を掲載するだけでは営業を始められません。営業方法に応じて、原則として旅館業法の許可、国家戦略特区法の認定、住宅宿泊事業法の届出のいずれかが必要です。
この記事では、「エアビーの許可は何が必要か」「届出と許可はどう違うか」を知りたい人向けに、3つの制度、住宅宿泊事業の要件、届出前の確認事項、営業開始後の義務を公式情報に基づいて整理します。
この記事は2026年9月9日時点の観光庁・厚生労働省の公式情報を確認して作成しています。条例、必要書類、申請先、消防・建築上の要件は地域や建物によって異なります。物件の購入・賃借・改修前に、所在地を管轄する自治体、保健所、消防本部、建築担当部署へ確認してください。
エアビー運営に必要な許可・届出は3種類
「エアビー許可」という名称の許可制度があるわけではありません。Airbnbは宿泊施設を掲載するサービスであり、日本国内で宿泊事業を行うための法的手続きは別に必要です。観光庁は、民泊を行う方法として次の3制度を案内しています。
- 旅館業法:簡易宿所営業などの許可を受ける
- 国家戦略特区法:制度を実施している区域で特区民泊の認定を受ける
- 住宅宿泊事業法:都道府県知事等へ住宅宿泊事業を届け出る
どの制度を使うかは、営業日数だけでなく、建物の用途、住宅としての利用実態、所在地、自治体の条例、必要な設備や管理方法を踏まえて決めます。「届出ならどの物件でも営業できる」「簡易宿所ならすぐに通年営業できる」とは限りません。
1. 住宅宿泊事業法の届出
住宅宿泊事業は、法令上の要件を満たす住宅で、宿泊させる日数を年間180日以内として行う制度です。観光庁によると、1年間は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで、1日は正午から翌日の正午までとし、届出住宅ごとに日数を算定します。
届出先は都道府県知事等です。保健所設置市や特別区が届出の受理などを担う地域もあるため、物件所在地の公式案内で窓口を確認します。また、自治体は条例により区域を定めて実施期間を制限できるため、全国共通の180日上限だけで事業計画を立てないことが重要です。
2. 旅館業法の許可
宿泊料を受けて人を宿泊させる営業は、原則として旅館業法上の許可が必要です。住宅宿泊事業法の届出または特区民泊の認定による場合を除き、ホテル営業・旅館営業・簡易宿所営業など、運営形態に合う許可を検討します。
旅館業法上の構造設備・衛生基準に加え、自治体の条例、用途地域、建築基準、消防設備などの確認が必要です。審査期間や必要書類を全国一律の数字で断定することはできないため、図面と運営計画を用意して管轄保健所などへ事前相談してください。
3. 国家戦略特区法の認定
特区民泊は、国家戦略特別区域のうち、自治体が制度を実施している区域で利用できる仕組みです。観光庁の制度比較では、最低滞在期間は2泊3日以上の範囲で自治体の条例により定められ、年間営業日数の上限は設けられていません。
対象区域、最低滞在期間、居室面積、近隣住民への説明などの要件は、認定を行う自治体の最新情報で確認する必要があります。特区内にある物件だから自動的に特区民泊を選べるわけではありません。
住宅宿泊事業の届出ができる物件の条件

住宅宿泊事業法を利用する場合、建物が設備要件と居住要件の両方を満たす必要があります。空き家、賃貸物件、分譲マンションであることだけでは、届出できるか判断できません。
台所・浴室・便所・洗面設備が必要
届出住宅には、台所、浴室、便所、洗面設備の4つが必要です。設備の具体的な扱いは建物の状況によって確認が必要なため、図面上の名称だけで判断せず、管轄窓口へ相談します。
居住要件のいずれかを満たす
住宅は次のいずれかに該当する必要があります。
- 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
- 入居者の募集が行われている家屋
- 随時、所有者・賃借人・転借人の居住に使われている家屋
宿泊専用として使うことだけを目的にした建物は、住宅宿泊事業の「住宅」に該当しない場合があります。利用実態や入居者募集の状況を説明する資料が必要になるため、提出先の必要書類一覧を確認してください。
賃貸借契約と管理規約を確認する
賃貸物件では、貸主が転貸と住宅宿泊事業への利用を認めているかを確認します。分譲マンションでは、管理規約に住宅宿泊事業を禁止する定めがないかを確認します。所有者や管理会社への口頭確認だけで進めず、契約書、承諾書、管理規約など提出先が求める資料を準備しましょう。
エアビーを始める前に確認する7項目

1. 営業制度と年間営業日数
住宅宿泊事業の180日以内で運営するのか、旅館業の許可を取得するのか、特区民泊の認定を利用できるのかを比較します。想定する営業日数だけでなく、住宅要件、改修、管理体制、条例による制限も含めて判断してください。
2. 自治体の条例と届出・申請窓口
住宅宿泊事業では、自治体が条例で区域と期間を定めて営業を制限できる仕組みがあります。旅館業や特区民泊にも自治体ごとの基準・手続きがあります。所在地の都道府県、市区町村、保健所の公式ページを確認し、古いまとめ記事や他地域のルールを当てはめないようにします。
3. 用途地域・建築基準・消防設備
宿泊制度の手続きとは別に、都市計画、建築基準、消防に関する確認が必要です。必要な消防設備や安全措置は、建物の用途、構造、規模、間取り、家主の居住状況などで変わります。契約や工事を先に進めず、図面を示して行政と消防へ相談してください。
4. 住宅宿泊管理業者への委託
観光庁は、住宅宿泊事業者が宿泊中に不在となる場合や、一つの届出住宅の居室数が5を超える場合、原則として住宅宿泊管理業務を登録住宅宿泊管理業者へ委託するよう定めています。予約対応や清掃だけではなく、本人確認、安全・衛生管理、苦情対応など、必要な業務を契約で確認します。
5. 周辺住民とごみ処理への対応
住宅宿泊事業者には、宿泊者へ騒音、ごみ処理、火災防止について説明し、周辺住民からの苦情・問い合わせへ適切かつ迅速に対応する義務があります。事業で出るごみを家庭ごみと同じ方法で処理できるとは限らないため、自治体の廃棄物担当部署へ確認してください。
6. 食事や温泉などの追加手続き
宿泊事業の許可・届出だけで、食事提供、温泉利用、浴場営業などに関するすべての手続きが完了するわけではありません。提供するサービスを具体的に伝え、食品衛生、温泉、公衆浴場など別制度の手続きが必要か管轄窓口へ確認します。
7. 掲載先へ登録する許認可情報
行政手続きが完了した後、利用する宿泊仲介サービスが求める許可番号、認定番号、届出番号などを正確に登録します。番号の種類や表示方法を混同せず、行政から交付・通知された内容と掲載先の最新案内を照合してください。
住宅宿泊事業を届け出る流れ

必要書類や事前手続きは自治体によって異なりますが、一般には次の順番で確認すると手戻りを減らせます。
- 住宅宿泊事業、旅館業、特区民泊から営業方法を比較する
- 物件所在地の条例、用途地域、建築・消防上の条件を確認する
- 賃貸借契約、転貸承諾、マンション管理規約を確認する
- 管轄窓口と消防へ図面・運営計画を示して事前相談する
- 住宅の設備要件・居住要件を確認し、添付書類をそろえる
- 必要に応じて登録住宅宿泊管理業者と契約する
- 都道府県知事等へ届出を行う
- 届出番号の通知後、所定の標識と運営体制を整える
- 掲載先に必要な許認可情報を登録し、営業を開始する
観光庁は、民泊制度運営システムからの電子申請・届出を案内しています。ただし、事前相談、添付書類、周辺住民への周知などの取扱いは自治体によって異なるため、システムへの入力だけで準備が完了すると考えないようにしましょう。
営業開始後に必要な対応

衛生と安全の確保
住宅宿泊事業では、居室の床面積を宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上確保し、清掃と換気を行います。また、非常用照明、避難経路の表示など、建物に応じた安全確保措置が必要です。消防用設備を含む具体的な要否は、管轄消防本部へ確認してください。
本人確認と宿泊者名簿
宿泊者本人を確認したうえで、氏名、住所、職業、宿泊日を名簿に記載し、作成日から3年間保存します。日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、国籍と旅券番号も記載します。
外国人宿泊者への案内
外国人旅行者には、届出住宅の設備の使い方、交通手段、火災・地震などの災害時に連絡する先を外国語で案内します。緊急連絡先や避難経路を現地で確認できるようにし、運営担当者が対応方法を共有しておくことも重要です。
標識掲示と定期報告
届出住宅ごとに、見やすい場所へ所定の標識を掲示します。また、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の15日までに、直前2か月分の宿泊日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別宿泊者数を都道府県知事等へ報告します。
エアビーの許可・届出に関するよくある質問

自宅の一室でも許可や届出は必要ですか?
宿泊料を受けて人を宿泊させるのであれば、自宅の一室でも営業方法に応じた手続きが必要です。住宅宿泊事業を選ぶ場合は、住宅の設備要件・居住要件を満たし、都道府県知事等へ届け出ます。
エアビーに登録すれば営業できますか?
できません。掲載サービスへの登録と、旅館業法の許可、特区民泊の認定、住宅宿泊事業法の届出は別の手続きです。行政手続きと安全・管理体制を整えてから掲載を進めてください。
住宅宿泊事業なら年間180日営業できますか?
180日は全国共通の上限であり、必ず180日営業できるという意味ではありません。自治体の条例により、区域を定めて営業期間が制限される場合があります。賃貸借契約や管理規約による制限も別に確認が必要です。
家主が不在でも運営できますか?
宿泊中に事業者が不在となる場合は、原則として登録住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託します。日常生活上の通常の行為に要する範囲の不在など、具体的な扱いは観光庁の最新案内と届出先で確認してください。
許可や届出にかかる期間はどのくらいですか?
制度、自治体、物件の状態、書類や工事の内容によって異なります。全国一律の標準期間は示せないため、営業開始日を先に確定せず、物件契約・改修前に管轄窓口へ相談してスケジュールを確認してください。
まとめ
日本でエアビーを適法に運営するには、営業方法に応じて旅館業法の許可、特区民泊の認定、住宅宿泊事業法の届出のいずれかが必要です。住宅宿泊事業は年間180日以内ですが、住宅要件、条例、契約・管理規約、建築・消防、管理委託などの確認も欠かせません。
根拠のない申請期間や収益見込み、他自治体の規制を前提に物件を契約すると、計画を進められないおそれがあります。所在地を管轄する自治体、保健所、消防本部、建築担当部署へ図面と運営計画を示し、必要な手続きを確認してから契約や改修を進めましょう。


