📝 記事
📂 コラム
👤 民泊navi

民泊開業の要件を完全解説!許可申請から運営まで必要な条件とは

民泊事業を始めたいと考えているものの、「どのような要件を満たす必要があるのか分からない」「手続きが複雑で何から始めればいいか迷っている」という方は多いのではないでしょうか。民泊の要件は法律によって厳格に定められており、適切な手続きを踏まなければ違法営業となってしまう可能性があります。

この記事では、民泊開業に必要なすべての要件について、初心者の方にも理解しやすいよう体系的に解説します。住宅宿泊事業法に基づく届出要件から、設備基準、運営時の義務まで、実際の開業に向けて知っておくべき情報を網羅的にお伝えします。記事を読み終えた頃には、民泊開業への具体的なステップが明確になり、安心して事業をスタートできるでしょう。

民泊の基本的な法的要件と3つの営業形態

民泊事業を合法的に運営するためには、まず日本における民泊の法的枠組みを理解することが重要です。現在、民泊は主に3つの営業形態に分類され、それぞれ異なる法律に基づいた要件が設定されています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)による民泊

2018年6月に施行された住宅宿泊事業法は、最も一般的な民泊の営業形態です。この法律に基づく民泊の要件は以下の通りです:

  • 年間営業日数の上限:180日以内
  • 届出制:都道府県知事等への届出が必要
  • 住宅要件:現に人の生活の本拠として使用されている家屋等
  • 安全確保措置:非常用照明器具、避難経路の表示等
  • 外国人観光客への配慮:外国語による施設利用方法の説明等

旅館業法による民泊(簡易宿所営業)

従来からある旅館業法の簡易宿所営業として民泊を運営する場合の要件です:

  • 営業日数制限なし:年間を通じて営業可能
  • 許可制:保健所への営業許可申請が必要
  • 構造設備基準:より厳格な設備要件
  • 衛生管理:定期的な清掃・消毒義務

国家戦略特区における特区民泊

国家戦略特区法に基づく特区民泊は、指定された特区内でのみ可能な営業形態です:

  • 最低滞在期間:2泊3日以上(一部地域では6泊7日以上)
  • 認定制:特区自治体による認定が必要
  • 外国人滞在施設経営事業:主に外国人観光客を対象

これらの営業形態の中で、最も参入しやすいのが住宅宿泊事業法による民泊です。ただし、自治体によっては独自の条例により追加の要件が設けられている場合があるため、事前の確認が必要です。

住宅宿泊事業法に基づく届出要件の詳細

住宅宿泊事業法による民泊を開始するには、都道府県知事等への届出が必要です。この届出要件について詳しく解説します。

届出に必要な書類

住宅宿泊事業の届出には、以下の書類の提出が必要です:

  1. 住宅宿泊事業届出書:法定の様式による届出書
  2. 住宅の図面:各階平面図、正面図、側面図等
  3. 登記事項証明書:建物の登記簿謄本
  4. 住宅が「人の居住の用に供されている家屋」であることを証する書類
  5. 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
  6. 消防法令適合通知書:消防署から発行される通知書

住宅要件の具体的な基準

住宅宿泊事業法では、民泊として使用する建物が「住宅」であることが要求されます。住宅要件を満たすためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります:

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  • 入居者の募集が行われている家屋
  • 随時その所有者等の居住の用に供されている家屋

これらの条件を証明するために、住民票、賃貸借契約書、電気・ガス・水道の使用実績等の書類が必要となります。

欠格事由について

以下に該当する者は、住宅宿泊事業を営むことができません:

  • 心身の故障により住宅宿泊事業を適正に遂行することができない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 住宅宿泊事業法等の法令に違反して刑に処せられた者
  • 暴力団員等

届出の審査期間と手数料

届出書類の審査期間は通常1~2週間程度です。ただし、書類に不備がある場合や追加資料の提出が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。手数料は自治体によって異なりますが、一般的に数千円から1万円程度です。

民泊施設に求められる設備基準と安全要件

民泊施設を運営するためには、ゲストの安全と快適性を確保するための設備基準を満たす必要があります。これらの要件は法律で定められており、遵守しなければ営業許可が得られません。

必須の安全設備

すべての民泊施設に設置が義務付けられている安全設備は以下の通りです:

  • 非常用照明器具:停電時でも避難経路を照らす照明
  • 避難経路の表示:日本語及び外国語による避難経路図
  • 火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置

消防法令への適合

民泊施設は消防法令に適合している必要があり、以下の設備設置が求められる場合があります:

  1. 自動火災報知設備:延べ面積や用途に応じて設置
  2. 消火器:適切な種類と数量の配置
  3. 誘導灯:避難口や避難経路の表示
  4. スプリンクラー設備:一定規模以上の施設に必要

これらの設備については、事前に所轄の消防署に相談し、消防法令適合通知書の交付を受ける必要があります。

衛生設備の要件

ゲストが快適に滞在できるよう、以下の衛生設備の整備が必要です:

  • 入浴設備:浴室またはシャワー室の設置
  • 便所:水洗便所の設置(汲み取り式は不可)
  • 洗面設備:洗面台の設置
  • 台所:調理設備の設置(簡易なものでも可)

居室の面積要件

宿泊者が利用する居室については、以下の面積要件があります:

  • 宿泊者1人当たり3.3㎡以上の面積確保
  • 適切な換気:窓の設置または機械換気設備
  • 採光:自然光が入る窓の設置

バリアフリー対応

高齢者や身体障害者の方も利用できるよう、可能な範囲でバリアフリー対応を検討することが推奨されています:

  • 段差の解消または手すりの設置
  • 車椅子でも利用可能な間口の確保
  • 緊急時の連絡手段の確保

運営に関する義務と管理要件

民泊の運営開始後は、適切な管理と運営を継続するための様々な義務が発生します。これらの要件を遵守することで、ゲストに安全で快適なサービスを提供できます。

宿泊者名簿の作成・保存義務

すべての宿泊者について、以下の情報を記録した名簿の作成が義務付けられています:

  • 宿泊者の氏名
  • 住所
  • 職業
  • 宿泊日
  • 国籍(外国人の場合)
  • 旅券番号(外国人の場合)

この名簿は3年間の保存が義務付けられており、定期的な行政検査の際に提示を求められる場合があります。

最低限の宿泊日数制限

住宅宿泊事業法では、宿泊日数は2泊3日以上と定められています。ただし、自治体によってはより長期間の最低宿泊日数を設定している場合があるため、事前の確認が必要です。

近隣住民への配慮義務

民泊運営においては、近隣住民との良好な関係維持が重要です:

  1. 騒音防止措置:深夜・早朝の騒音防止指導
  2. ゴミ処理の適正化:分別方法の説明と適切な排出指導
  3. 緊急時連絡先の明示:24時間対応可能な連絡先の掲示
  4. 苦情対応体制:近隣住民からの苦情への迅速な対応

外国人宿泊者への対応要件

外国人観光客を受け入れる場合の特別な要件があります:

  • 外国語による施設利用案内:最低限英語での案内書作成
  • 災害時の対応方法:緊急時の避難方法等の外国語説明
  • 交通機関の利用方法:最寄り駅やバス停への案内
  • 地域のルール・マナー:日本の生活習慣やマナーの説明

定期報告義務

住宅宿泊事業者は、都道府県知事等に対して定期的な報告を行う義務があります:

  • 報告頻度:2か月ごと(奇数月の末日まで)
  • 報告内容:宿泊日数、宿泊者数、国籍別宿泊者数等
  • 報告方法:電子申請システムまたは書面による提出

自治体独自の条例と追加要件

住宅宿泊事業法は国の法律ですが、各自治体は独自の条例により追加の要件を設けることができます。これらの条例要件は地域の特性や住民の意向を反映したものであり、民泊事業者は必ず遵守しなければなりません。

営業日数の制限強化

多くの自治体では、住宅宿泊事業法の年間180日という上限をさらに制限しています:

  • 京都市:住居専用地域では1月15日~3月15日のみ営業可能
  • 軽井沢町:年間営業日数を100日以内に制限
  • 鎌倉市:住居専用地域では月~木曜日のみ営業可能

用途地域による制限

都市計画法の用途地域に応じて、民泊営業に制限を設けている自治体があります:

  1. 住居専用地域:営業日数や時間の厳格な制限
  2. 商業地域:比較的緩やかな制限
  3. 工業地域:営業禁止の場合もあり

近隣住民への事前説明義務

一部の自治体では、民泊営業開始前に近隣住民への説明を義務付けています:

  • 説明対象範囲:隣接する建物や一定範囲内の住民
  • 説明内容:営業計画、緊急時連絡先、苦情対応方法等
  • 同意書の取得:近隣住民からの同意書取得を求める自治体もあり

管理者の常駐・駆けつけ要件

ゲストの安全確保と近隣トラブル防止のため、管理体制に関する追加要件を設けている自治体があります:

  • 駆けつけ時間:苦情や緊急事態発生時の駆けつけ時間制限(30分以内等)
  • 管理者の資格:住宅宿泊管理業者への委託義務
  • 24時間対応体制:夜間・休日でも対応可能な連絡体制

標識・看板の設置要件

民泊施設であることを明示するための標識設置について、自治体独自の要件があります:

  • 標識の大きさ・材質:耐久性のある材質での一定サイズ以上
  • 記載事項:届出番号、事業者名、緊急時連絡先等
  • 設置場所:道路から見やすい位置への設置義務

住宅宿泊管理業者への委託要件

民泊事業において、適切な管理体制の確保は極めて重要です。特に事業者が現地に常駐できない場合や、複数の物件を運営する場合には、住宅宿泊管理業者への委託が必要となります。

管理業務委託が必要なケース

以下の場合には、国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者に管理業務を委託することが義務付けられています:

  • 家主不在型民泊:事業者が住宅に居住していない場合
  • 一定規模以上の施設:客室数が5室を超える場合
  • 管理の一部委託:事業者が一部の管理業務を第三者に委託する場合

住宅宿泊管理業者の業務内容

住宅宿泊管理業者が行う主な業務は以下の通りです:

  1. 宿泊者名簿の作成・保存
  2. 宿泊者への説明:施設利用方法、周辺地域の情報提供
  3. 清掃・衛生管理:定期的な清掃と衛生状態の維持
  4. 苦情対応:近隣住民からの苦情への対応
  5. 緊急時対応:火災・事故等の緊急事態への対応

管理業者選定のポイント

適切な住宅宿泊管理業者を選定するためのポイント:

  • 登録状況の確認:国土交通省の登録業者であることの確認
  • 実績・評判:過去の管理実績と利用者からの評価
  • 対応エリア:物件所在地での対応可能性
  • 料金体系:管理手数料の妥当性
  • 緊急時対応:24時間対応体制の有無

管理委託契約の注意点

住宅宿泊管理業者との契約締結時に確認すべき事項:

  • 業務範囲の明確化:委託する業務内容の詳細な規定
  • 責任の所在:トラブル発生時の責任分担
  • 報告義務:定期的な業務報告の頻度と内容
  • 契約期間・更新条件:契約期間と更新に関する条件
  • 解約条件:契約解除の要件と手続き

許可申請の具体的な手順とプロセス

a close up of a game board

民泊事業を開始するための許可申請は、複数のステップを経て進める必要があります。適切な順序で手続きを行うことで、スムーズな開業が可能となります。

事前準備段階

申請手続きを開始する前に、以下の準備を完了させておきましょう:

  1. 事業計画の策定:営業形態、ターゲット、収支計画等の明確化
  2. 物件の選定・確保:民泊に適した物件の確保と契約
  3. 法令・条例の確認:国の法律と自治体条例の要件確認
  4. 近隣住民への説明:事前の説明と理解の取得

消防署での事前相談

建物の用途変更や設備設置について、消防署との事前相談は必須です:

  • 相談時期:工事開始前の早い段階で相談
  • 持参書類:建物図面、設備計画書等
  • 確認事項:必要な消防設備と設置基準
  • 工事業者選定:消防設備工事の専門業者への依頼

建築基準法への適合確認

民泊として使用する建物が建築基準法に適合していることの確認が必要です:

  • 用途変更の必要性:100㎡を超える場合は確認申請が必要
  • 構造基準:耐震性、防火性能等の基準適合
  • 避難施設:避難経路と避難施設の適切な設置

届出書類の作成・提出

必要書類を整えて、所定の窓口に届出を行います:

  1. 届出書の作成:法定様式への正確な記入
  2. 添付書類の準備:図面、登記簿謄本等の準備
  3. 消防法令適合通知書の取得:消防署での手続き完了後に取得
  4. 届出書類の提出:都道府県または保健所設置市への提出

審査期間中の対応

届出書類提出後の審査期間中に必要な対応:

  • 追加資料の提出:行政から求められた場合の迅速な対応
  • 現地確認への対応:担当者による現地調査への協力
  • 修正指示への対応:不適合事項の改善と報告

届出番号取得後の手続き

届出が受理され届出番号を取得した後に行う手続き:

  • 標識の設置:届出番号等を記載した標識の設置
  • 営業開始の準備:宿泊者受入れ体制の最終確認
  • 管理業者との契約:必要に応じて管理業者との契約締結
  • 予約受付開始:民泊予約サイトへの登録等

よくある質問(FAQ)

Q1: マンションでも民泊を始めることはできますか?

A1: マンションでの民泊開業は可能ですが、管理組合の規約で民泊が禁止されていないことを事前に確認する必要があります。また、近隣住民への配慮がより重要となります。

Q2: 民泊の営業許可取得にはどのくらいの期間がかかりますか?

A2: 住宅宿泊事業法による届出の場合、書類に不備がなければ1~2週間程度で届出番号が発行されます。ただし、消防設備工事等の準備期間を含めると、全体で2~3か月程度を見込んでおくことをお勧めします。

Q3: 年間180日の制限はどのように計算されますか?

A3: 宿泊者が滞在した日数で計算されます。例えば、3泊4日の宿泊があった場合は3日としてカウントされます。チェックイン日は含まれますが、チェックアウト日は含まれません。

Q4: 外国語対応が不安ですが、必ず英語での案内が必要ですか?

A4: 外国人宿泊者を受け入れる場合は、最低限英語での施設利用案内書の作成が義務付けられています。翻訳サービスや多言語対応の管理会社を利用することも可能です。

まとめ:民泊開業成功のためのポイント

民泊事業の開業には様々な要件がありますが、適切な準備と手続きを行うことで、合法的で安定した事業運営が可能となります。

最も重要なポイントは、法令遵守と近隣住民との良好な関係構築です。住宅宿泊事業法の基本要件を満たすことはもちろん、各自治体の条例要件も必ず確認し、地域に根ざした運営を心がけることが成功の鍵となります。

また、適切な管理体制の構築も欠かせません。特に家主不在型の民泊を運営する場合は、信頼できる住宅宿泊管理業者との連携により、ゲストの安全確保と地域住民への配慮を両立させることが重要です。

民泊市場は今後も成長が期待される分野ですが、適切な要件を満たした事業者のみが長期的な成功を収めることができるでしょう。この記事で解説した要件を参考に、計画的な準備を進めて、民泊事業の成功を目指してください。

本サイトの情報は正確性に配慮していますが、法改正や運用の変更により、実際の内容と異なる場合があります。詳細については、最新の法令・自治体の規定や専門家にご確認ください。

📤 この記事をシェア:

🔗 関連記事

✏️

情報の修正依頼

掲載されている情報に誤りがある場合や
最新の情報に更新したい場合はこちら

📝 修正依頼をする
📢

掲載依頼

あなたの運営会社も当サイトに
掲載しませんか?無料でご相談可能です

🚀 掲載依頼をする