
民泊新法の許可申請完全ガイド|必要書類から手続きまで徹底解説

民泊新法とは?住宅宿泊事業法の基本を理解しよう
民泊新法(正式名称:住宅宿泊事業法)は、2018年6月15日に施行された法律で、一般住宅を活用した宿泊サービスを適正に運営するためのルールを定めています。この法律により、民泊事業を行う際は必ず許可を取得する必要があります。
従来、民泊運営には旅館業法の許可が必要でしたが、手続きが複雑で個人には高いハードルがありました。民泊新法の制定により、より簡素化された手続きで合法的に民泊運営が可能になったのです。
民泊新法の主な特徴
- 年間営業日数の上限は180日(約6ヶ月)
- 住宅宿泊事業の届出制度を導入
- 住宅宿泊管理業者の登録制度を新設
- 住宅宿泊仲介業者の登録制度を新設
- 近隣住民への配慮義務を明文化
この法律により、適切な許可を得れば個人でも安心して民泊運営ができるようになり、観光立国を目指す日本の重要な施策の一つとなっています。
民泊新法の許可申請に必要な書類一覧

民泊新法に基づく住宅宿泊事業を開始するには、都道府県知事(保健所設置市の場合は市長)への届出が必要です。以下に必要書類の詳細をまとめました。
基本的な届出書類
- 住宅宿泊事業届出書
- 事業者の氏名・住所
- 住宅の所在地
- 営業日数の上限設定
- 住宅の図面
- 各階平面図
- 正面図
- 側面図または背面図
- 住宅の登記事項証明書
- 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合の書類
追加で必要になる可能性がある書類
- 賃貸住宅の場合:転貸承諾書
- 分譲マンションの場合:管理組合の承認書
- 法人の場合:定款または寄附行為
- 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
- 住宅宿泊管理業務委託契約書の写し(該当する場合)
これらの書類は地域によって若干異なる場合があるため、届出を行う自治体のホームページで最新情報を確認することが重要です。
民泊新法許可申請の手続きの流れ

民泊新法の許可申請は、以下の5つのステップで進めることができます。適切な手順を踏むことで、スムーズに許可を取得できます。
ステップ1:事前準備と要件確認
まず、運営予定の住宅が民泊新法の要件を満たしているかを確認します。主な確認事項は以下の通りです:
- 住宅が「住宅」の定義に該当するか
- 地域の条例による制限がないか
- 建築基準法や消防法の要件を満たしているか
- 近隣住民への説明が完了しているか
ステップ2:必要書類の準備
前章で説明した必要書類を漏れなく準備します。特に住宅の図面や登記事項証明書は取得に時間がかかる場合があるため、早めに手配しましょう。
ステップ3:届出書の作成・提出
民泊制度ポータルサイト「minpaku」を利用してオンラインで届出を行うか、窓口に直接提出します。オンライン申請の場合、以下のメリットがあります:
- 24時間いつでも申請可能
- 書類の不備をシステムがチェック
- 進捗状況をリアルタイムで確認可能
ステップ4:審査・補正
提出された書類は行政機関で審査されます。不備がある場合は補正を求められるため、迅速に対応することが重要です。審査期間は通常1〜2週間程度です。
ステップ5:届出番号の取得・事業開始
審査が完了すると、「住宅宿泊事業者届出番号」が発行されます。この番号を取得後、正式に民泊運営を開始できます。
民泊運営で必要な設備・安全基準
民泊新法では、宿泊者の安全と快適性を確保するため、具体的な設備基準が定められています。これらの基準を満たさない場合、許可を取得できません。
必須設備一覧
- 台所設備
- 流し台
- 調理設備(コンロ等)
- 冷蔵庫
- 浴室設備
- 浴槽またはシャワー設備
- 給湯設備
- 便所設備
- 水洗便所
- 手洗い設備
- 洗面設備
安全・衛生基準
設備面以外にも、以下の安全・衛生基準を満たす必要があります:
- 非常用照明器具の設置
- 避難経路の確保・表示
- 火災報知設備の設置(住宅用火災警報器含む)
- 消火器の設置
- 換気設備の設置
- ごみの適切な処理体制
宿泊者への情報提供義務
民泊新法では、宿泊者に対して以下の情報を提供することが義務付けられています:
- 騒音防止に関する事項
- ごみの処理に関する事項
- 火災・地震等の緊急時の対応
- 外国人宿泊者に対する外国語での情報提供
民泊運営成功のポイントと注意事項

適法な民泊運営を行うだけでなく、成功する民泊運営のためのポイントを理解することが重要です。
運営成功のための5つのポイント
- 立地選択
- 交通アクセスの良さ
- 観光地への近さ
- 周辺環境の安全性
- 設備・サービスの充実
- Wi-Fi環境の整備
- 清潔な室内環境
- アメニティの充実
- 適切な価格設定
- 地域相場の調査
- 季節変動への対応
- 競合物件との差別化
- 多言語対応
- 外国人観光客への対応
- 緊急時の連絡体制
- 継続的な改善
- 宿泊者からのフィードバック活用
- 設備・サービスの見直し
よくある運営上の注意事項
民泊運営において特に注意すべき点は以下の通りです:
- 営業日数の正確な管理(年間180日以内)
- 宿泊者名簿の適切な作成・保存
- 近隣住民とのトラブル防止
- 税務申告の適切な実施
- 保険加入による リスク管理
よくある質問(FAQ)

Q1: 民泊新法の許可申請にかかる費用はいくらですか?
A1: 民泊新法の届出自体に手数料はかかりません。ただし、必要書類の取得費用(登記事項証明書など)や設備投資費用は別途必要です。
Q2: 申請から許可取得まではどの程度の期間がかかりますか?
A2: 書類に不備がない場合、通常1〜2週間程度で届出番号が発行されます。ただし、書類の準備期間も含めると1ヶ月程度見込んでおくことをお勧めします。
Q3: 年間180日の営業日数制限はいつからカウントされますか?
A3: 毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間でカウントされます。この期間内で180日を超えることはできません。
Q4: マンションでも民泊運営は可能ですか?
A4: 可能ですが、管理規約で民泊が禁止されていないこと、管理組合の承認を得ることが必要です。分譲マンションの場合は特に注意が必要です。
まとめ
民泊新法に基づく許可申請は、適切な手順を踏むことで個人でも十分に対応可能です。重要なポイントをまとめると以下の通りです:
- 必要書類の準備を早めに開始する
- 地域の条例・規制を必ず確認する
- 設備・安全基準を満たす環境を整備する
- 営業日数制限を厳格に管理する
- 近隣住民への配慮を怠らない
適法で成功する民泊運営のためには、法令遵守が大前提です。不明な点がある場合は、専門家や行政窓口に相談することをお勧めします。これらのポイントを押さえることで、安心して民泊事業をスタートできるでしょう。